去年の世相を現す一文字が「偽」だなんて。この国は本当に、未来の子供達への申し訳なさですっかり萎んでしまったじゃないか。おまけにその文字の裏側には「欲」というもう一つの文字が隠されていることに、もう皆んなが気付いているね。でも安心しておくれ、そんなことに無縁な小さな真心の集まりは、まだ日本中にいっぱいあるよ。
狭山市の「ぶどうの会(心身障がい者地域デイケア施設)オアシス作業所」(長い!)
6日の新年会には、近隣の友人達と、作業所に通う子達と、その親と、支援するたくさんの人が集まった。会の代表、皆んなのお母さんの挨拶には、理想的にはいかない運営の苦労が、隠しても現れる。社会の矛盾も格差も、自立支援という名の切り捨ても、こんな小さな施設を真っ先に襲うのだろうからね。


欲しいと言わなくても集まってくるという、必要充分でささやかなお正月料理。支援者のお魚屋さんの寄贈であるところの「尾頭付きの鯛」もちゃんとある。くだもの、野菜、お餅、手作りのおせち、鶴の折り紙のついた箸袋に、ご近所から頂いたという小さなみかん、笑い声。ほかに何かが必要でしょうか。僕らには何もしてやれないのでしょうか・・・。じゃあ歌を歌います、あとで聴いてくださいね。作業所の子供達の日常と、農作業を写したスライドを見ながら皆んなで食べる。
僕らは去年の春に、入間市の「駿大ハウス」で、ここのスタッフの女性に出会い、すぐにライブを申し出てからの付き合いだ。勝手にここのテーマソングだ、と思っている宮澤賢治さんの「雨ニモマケズ」を。そしてもう一曲、去年の暮れからやっと歌う気持ちが掴めてきた、同じく賢治さんの「注文の多い料理店の序」を歌った。僕はこれを何百回か読んだのち、ようやくメロディーにのせて歌うことが出来るようになったのだ。作業所の子供達に捧げようね。ここにその一節を記しておきます。
(賛美歌「What A Friend We Have In Jesus」のメロディーだよ)
わたしたちは、氷砂糖をほしいくらゐもたないでも、
きれいにすきとほつた風をたべ、桃いろのうつくしい朝の日光をのむことができます。
またわたくしは、はたけや森の中で、ひどいぼろぼろのきものが、
いちばんすばらしい びろうどや羅紗や、宝石いりのきものに、
かはつてゐるのをたびたび見ました。
(中略)
けれども、わたくしは、これらのちいさなものがたりの幾きれかが、
おしまひ、あなたのすきとほつたほんたうのたべものになることを、
どんなにねがふかわかりません。
大正十二年十二月二十日 宮沢賢治 ”


会の責任者Kitaharaさん率いる和太鼓と舞踊のチーム「風音(かざね)」の演奏。渾身の太鼓の音は、体の疲れに良く効くマッサージだ。そして、それは魂と命に響くメッセージだ。僕の年末年始の風邪による微熱は、本当にどこかへ飛んで行ったよ。
お正月なので獅子舞も登場。全員の、体の悪いところを噛んでもらって、無病息災を祈願するんだね。お婆ちゃんの腰を、お爺ちゃんの膝を、子供達が健康で働けるように、肩を手を。僕らはもちろん、あ・た・ま(笑)

「さるお」くん、今日は二人だけだ。でも、ここにはもう3回歌いに来た、会の仲間である。通りすがる人波の駅前ストリートから、縁を紡いで拡がる表現の小宇宙へ。「さるお」の旅は続く、カッコいい。張り詰めた空気にすこし緊張か?ゆるめろ!溶かして広げろ!パワーで負けるなよ!たとえ大迫力の太鼓演奏の直後であってもだ。